2008年06月分 古瀬 崇

『見失っていませんか』

 先日ネットで 「手段の目的化」〜社員全員が見失った本来の目的〜 とういう記事を読みました。

 内容は、ある会社が中核事業に専念し生産性向上とコストダウンを図るためアウトソーシングを積極的に行うが失敗してしまうという内容でした。
その大きな原因が、「手段の目的化」です。

 本来ならば生産性向上・コストダウンという目的の手段としてアウトソーシングを進めるはずが、各人、各部署がアウトソーシングしなければいけない観念にとらわれアウトソーシング率を高める事に評価をおくこととなってしまい、手段に過ぎない活動や施策が目的となってしまったのです。これは往々にして見受けられるケースだと思います。

 またビジネスシーンにおいても「手段の目的化」が起こりやすい例として以下のようなケースが挙げられます。
 ・当初は目的が共有されていたが経過年数とともにルーチン化する
 ・上下関係のケースでは、上司は目的をもって指示していても部下は業務をこなすことだけを目的としてしまう
 ・他がやっているから導入する(元々の目的が曖昧)  など(記事引用)

 心当たりはないでしょうか。

 ではどうすればそのような落とし穴にはまらないか、という考え方の1つとしてクリティカル・シンキングを紹介します。

 クリティカル・シンキングとは・・・
 ・自分自身の偏ったものの見方を批判的にみつめ直して、正しい方向に論理的に考える
 ・物事や人の言う事を鵜呑みにせず、論理的に考えて吟味する。
 ・物事を一面的に見るのではなく、常に複数の観点から見て可能性を判断する
 というような思考法ですが、簡単に言えば、これでよいのかな・ほかに何かあるのではないかなと常に自問自答し続ける事だと思います。

 情報が氾濫し、時代が激流のように変化している昨今、今日よかった事、正しかった事が明日には正しいかどうかは分かりません。 

 本来の目的を見失わない為にも、常に自問自答し判断してゆく事が求められていると思います。


2008年05月分 竹添 敦史

『国際連帯税』

 「国際連帯税」という言葉をご存知でしょうか?

 国際連帯税とは、「航空券」、「外国為替取引」、「二酸化炭素の排出量」などに対して課税を行い、その資金を、地球規模の問題解決(途上国の貧困対策など)に充てようというものです。
 現在、導入を表明している国は28ヶ国に及び、実際に導入している国もあります。

 国際連帯税が注目されたきっかけは、2005年1月の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)でした。
 当時のフランス大統領であったシラク氏が、「貧困、エイズ問題、環境問題に対する具体策として、政府の途上国援助(ODA)を増やすだけでは不十分」として、航空券などに国際連帯税を課すことを提案しました。
 この提案は、世界に大きな衝撃を与えることになります。
 そもそも、課税権は、国家が独自に制定するものであり、国家の存在意義にも関わるという考えが常識です。
その常識を覆して、複数の国家で同一目的のために課税制度を作ろうというのですから無理もありません。
 さらに、その提案を主要国であるフランスからされたことが大きなインパクトとなりました。

 そして、すでにフランスでは、2006年7月から航空機への搭乗ごとに国際連帯税が課税されています。
 その税収は、年間で約2億ユーロ(約330億円)に達するともいわれ、世界基金を通じてジェネリック医薬品の購入資金に活用されており、この税収だけでもアフリカのエイズウィルス感染者130万人の治療が可能との事です。

 ちなみに、このような概念は以前からあり、アメリカの経済学者、ジェームズ・トービン(1981年ノーベル経済学賞受賞)によって1972年に提唱されたのですが、このときは、「投機的な短期金融取引の抑制」を目的にしたもので、現在の目的とは少し違うようです。
 また、フランスが提唱したのが初めてというわけではなく、ブラジルなどの新興国からも、度々、提案されていました。


 日本では、「国際連帯税」なる税制は、まだ導入されていません。
しかし、今年7月の洞爺湖サミットを前に、にわかに議論され始めています。
 もっとも、現状では、新税の導入は難しいと思います。(この秋には消費税率の引き上げ議論も控えていますし…)
 ただし、世界の潮流は、導入に積極的であるのは確かですし(アメリカは反対のようですが)、グローバル化が進む現代では、国際連帯税の概念も肯定されざるを得ないのかもしれません。
ですから、そう遠くない時期に、日本でも導入されるかもしれません。


2008年04月分 乾 善文

『ふるさと納税スタート』

 平成20年度税制改正において、寄付を奨励するいわゆる「ふるさと納税」という制度ができました。

 このふるさと納税とは、生まれ故郷や思い出の地などの自治体に寄付をした場合、年間5,000円を超える部分の寄付について、住民税等が最大で10%減免される制度のことです。

 各自治体はこのふるさと納税による税収アップを狙って、誘致合戦を繰り広げています。奈良県や兵庫県川西市・山口県萩市などでは寄付の金額により以下のプレゼントがあります。プレゼントにより寄付を募る行為ではと批判もありますが、各自治体は広告も兼ねているとの考えで導入しています。

奈良県 5,000円以上50,000円未満で大和茶や黒胡麻など
50,000円以上の寄付で大和牛や三輪そうめんなど
川西市 30,000円以上の寄付で地元特産の米やブドウ・トマトなど
萩  市
10,000円以上で夏ミカンや萩焼など


 他には、兵庫県西宮市では甲子園の整備等に使う為の「ふるさと西宮・甲子園寄付金」を募っています。福井県では納税者の利便性を考えて、窓口を一本化し、寄付方法も銀行振り込みや現金書留の他、カードによる寄付も受け付けています。

 一方で税収ダウンを心配している自治体もあります。それは、兵庫県芦屋市です。芦屋市には、プロスポーツ選手や企業の経営者など県外出身者の高額所得者が多く住んでいます。仮にその高額所得者の1人が3,000万円をふるさとに納税した場合、芦屋市は最大で2,300万円の減収になります。このような例が多くなれば数億円の減収になると市の職員は心配しています。

 制度上の善し悪しはあると思いますが、このふるさと納税により国民が税金の支払い先を選択できるようになったのは良いことだと思います。これにより、納税者は、かつてお世話になった地域に恩返しを兼ねて寄付をしたり、不祥事のあった自治体などに住んでいる人は他の自治体に寄付をしたりすることも出来るようになり、自治体のサービス向上や税金の無駄遣いの抑制にも役に立って欲しいと思います。なにより、国民一人一人の納税意識も高くなるのではないでしょうか。

(参考)
総務省HP …
http://www.soumu.go.jp/menu_00/important/080430_2_kojin.html

2007年11月分 塚本 正一郎

『外国人研修・技能実習制度』

 「外国人研修・技能実習制度」は、日本の優れた技能を発展途上国に移転するという目的で、途上国の人づくり支援を旗印に1993年に創設されました。実際は、1980年後半からバブル期の人手不足の中、90年代になって妥協的にできた制度のようです。

 最初の1年間は「研修生」として座学や実務を学び、「労働者」ではなく、労働基準法や最低賃金法など、働く人を保護する法律は適用されません。入管法上の在留資格は「研修」とされ、所得税や住民税は原則、課税されません。受入企業は、生活実費としての研修手当(月額6万円程度)の支払いや宿泊施設の提供などを行い、時間外の研修等は禁止されています。

 次に「研修」が終了してから2年間は「技術実習生」として働くことになり、社会保険や労働保険に加入することになります。入管法上の在留資格は「特定活動」とされ、所得税や住民税も課税されます。
「単純労働力は受け入れたくない」「外国人の定住により様々な摩擦を引き起こすことを避けたい」という本音から3年間となったようですが・・・。

 平成18年度の研修生としての入国者は約9万3千人です。また平成18年度の技能実習生の申請は4万人を超え、平成17年度からの実習生を加えると約7万4千人になります。つまり、研修・実習生で16万人を超えることになります。受入企業も1万3千社を超えており、多くの職場で中国、ベトナム、インドネシア等様々な東アジアの若者が活躍しています。

 昨今では、賃金未払いや低賃金、長時間労働が横行し、研修・実習生と受入企業とのトラブルや不正が多発しています。パスポートや預金通帳を強制的に預けさせられたり、暴力やセクハラの被害もあるようです。また、研修・実習生の失跡も後を絶えない現状で、この5年間で1万人近くになります。

 外国人労働者をめぐっては、海外とコスト競争が厳しい業界で解禁を求める声があり、アジア各国からも門戸開放の要請が高まっています。
 こうした中、厚生労働省は法的保護が不十分な研修制度を廃止し、3年間の実習生制度に一本化する改正案をまとめました。これに対して、経済産業省の案は現行制度を維持しつつ、違反企業への罰則を強化するとしています。このほか、法務大臣が技能移転などと言わず、単純労働者を3年間受け入れるという案を提起しています。

 少子高齢化に伴う労働力の不足が進行する中、日本経済の将来の見通しを踏まえた見直しが行われる事を期待します。


2007年10月分 古瀬 崇

『安全性・信頼性が揺らいできています』

 新聞やニュースに取り上げられる食品偽装・耐震偽装など私達の目にする事項だけでも不信感を招くものが数多くあります。
今年大きく取り上げられたものだけでも以下のようなものが記憶に新しいと思います。

不二家 期限切れ菓子類出荷
石屋製菓 賞味期限改ざん
赤 福 製造日偽装商品販売
パロマ工業 湯沸し器中毒事故で幹部書類送検
ミートホープ 混在肉販売で幹部書類送検
船場吉兆 賞味期限切れ商品販売 牛肉産地偽装     など

 会社内部の事ととはいえ、多くの人の目に触れる中で何故こんなことが起こってしまうのか。 1つの仮定として以下の心理学実験を紹介します。

「ミルグラムの実験」
 閉鎖的な環境下における、権威者の指示に従う人間心理を実験したものです。

 この実験は、ナチスドイツのユダヤ人虐殺の責任者であるアイヒマンが裁判中「私はただ上官の命令に従っただけだ」と主張し続けたことに対し、アイヒマンとその他虐殺に加わった人達は、単に上の指示に従っただけなのかどうか?という疑問に応える為にミルグラムによって行われたものです。

 被験者は一般の市民であり、被験者には「学習と罰の相関関係の調査」と伝えられました。
その人たちを先生役と生徒役に分け、その間を仕切りお互いが見えない状態にし、生徒役には電極をつけ、先生が出す問題に正解しなければ先生が電流の流れるボタンを押すという形式ですすめられる。 間違えるたび電流とそれに対するショックの強さの表示されたボタンを押してゆく。 故に、先生役側では予めどのボタンがどの位のショックを与えるか分かっている事になる。

 種明かしをすると、実際には生徒役はいわゆるサクラであり、電流が流れるたびにそのショックの大きさを表す声や、苦痛行動の演技をしているだけだが、先生役には分からない。

 そうした結果、生徒に苦痛を与えているという事にためらい、やめようとしながらも、そのたびに実験の継続を強要されると、最終的には被験者の6割強が最大電流までボタンを押し続けたという結果です。
 これは当然ながら世界中に大論争を引き起こしたそうです。

 原因や要因は多々考えられますが、1つの仮定としてあなたでしたら最近の事件や不祥事との関連をどう考えますか。
私自身は、最近の不祥事が明るみに出るその多くが「内部告発」からだと言うことから

 組織における権力下でも人それぞれが持つ「個」の倫理観や正義感を信じたいと思います。

2007年09月分 竹添 敦史

『世界の法人税率』

 日本の法人課税は、法人税・法人住民税・法人事業税の3種類あり、実効税率は「40%」を超えています。
 
 他の主要国の法人税実効税率は、アメリカの「40%」を除いて、イギリス「30%」(5%以上の引き下げ予定)、フランス「33%」(2%の引き下げ予定)ドイツ「29%」(来年から適用、現在は38.5%)など、主要国では軒並み35%を下回る税率が主流となっています。
 アジアでは、香港「17.5%」、シンガポール「20%」(来年から18%に引き下げ予定)というように、極めて低い税率の国も存在しています。

 各国が法人税率の引き下げを行うのは、「自国企業の国外流出」、「課税所得の国外への漏出」、「自国の雇用喪失」などによって、自国の経済競争力が低下することを防ぐのが目的です。
日本では40%を超えているのに、世界では30%台でも危機感を持ち、世界平均の27%近くまで、引き下げようという動きが多くなっています。

 この様な動きの中で、オランダが、2007年1月1日から、法人税率を29.1%から25.5%に引き下げました。
今回の引き下げで、オランダの法人税率は、1998年からの10年間で9%も下がったことになります。
 実は、この法人税率“25.5%”に、日本の税制が少なからず影響を与えたようなのです。
法人税率の25.5%は、当初は25%とする計画でしたが、0.5%上乗せする形で決着しました。
その背景に、日系企業の存在があったというのです。

 オランダの法人税率が25%になると、日本の税制上、「タックス・ヘイブン国」として扱われます。
日本の税制では、『タックス・ヘイブン国にある子会社の利益は、一定の適用除外基準を満たさない限り、日本の親会社の利益と合算して課税する』としています。
つまり、海外の会社の利益にも日本の高い税率で課税するしくみです。
オランダには多くの日系企業があり、ほとんどは、合算課税の適用除外の基準を満たすことができないため、日本の税率で課税される事態に陥ります。
こうした事情に配慮した結果、“25.5%”となったようなのです。

 日本の税制だけが理由になったわけではないのかもしれませんが、自国だけでなく、他国の税制にまで影響を与える日本の税制…。
 
 自国の経済競争力を維持・発展させるために、各国が様々な対応をしている最中、日本の税制は手付かず…。
日本は世界の潮流から取り残されているのでは…? と疑問が湧いてきます。

 『日本の主要企業の本社が海外へ移転!』
このような新聞記事が、出るようにならないことを願います。

2007年08月分 乾 善文

「医療費の不払い問題」

 ここ数年、医療費の不払いが全国の病院で深刻化しています。国内の6割以上の公立、民間の医療機関でつくる「四病院団体協議会」は、加盟5,570病院の未収金総額が、02年度から04年度までの3年間で853億円を超えると推計しています。未収の増加原因は、主に以下の3点になっています。

(1) 生活貧困による医療費の不払い
 低所得者の増加や、医療制度改革に伴い03年4月から一律3割に引き上げられたことによる自己負担の増加が原因だと考えられています。また、低所得者に対しては、自治体により医療費の減免等があり、その制度の周知不足もあります。

(2) 医療トラブルによる医療費の不払い
 病院が必要のない検査をしたなど患者との間でトラブルによる、病院側の運営上の問題で発生したものです。

(3) モラル低下による医療費の不払い
 叔母のふりや実在しない人になりすまし保険証を提示しないで治療を受ける人、故人が払ったと言い張る遺族、会計をすまさず勝手に帰る人等、患者側のモラルの低下によるものです。

 (1)については、病院で分割払いにしたり、連帯保証人を求めたり、督促を強化したりと様々な回収策を講じていますが、あまり効果はないようです。また、医療費の減免等については、各自治体と医療機関が協力をし、制度の周知をしていくことが必要です。

 (2)については、病院側が患者に対して徹底して説明義務を行えば大半は解決できると思います。

 問題は、(3)です。悪質な滞納者に対して、訴訟や給料の差し押え等の法的措置を講じたり、専門家である弁護士や債権回収機構に回収を依頼をするなど強い態度を示しています。また、会計処理の出来なかった休日や夜間でも会処理を出来るようにしたり、クレジットカードでの支払いが出来るようにしたりと、病院側の努力もしていますが、名前や住所を偽っている場合も多く、あまり効果はあがっていないようです。

 医師には、どんな患者でも診療を拒否できない「応招義務」があり、滞納者が来た場合でも治療をしなくてならず、未収は増えていく一方になっています。こうしたなか、厚生労働省は検討会を設置、解決に乗り出しました。患者と医療機関の信頼関係を損なわない実効性のある対策が求められていますが、決め手に欠けているようです。

 一番の解決策は、患者だけでなく、医療機関・自治体等全てのモラルの改善だと思います。提供したサービスに対する対価を払って貰う環境作り、受けたサービスに対する対価を支払うという一般的なことを思い出すことが一番だと思います。

2007年07月分 塚本 正一郎

「土地の境界について」

 国土交通省は、登記所の「公図」について、都市部の約6割で実際の境界とは1メートル以上の大きなズレがあることを公表しました。国土交通省は、市町村に地籍調査の早期実施を促しています。
 こうしたズレは、土地の売買トラブルを招くこともあり、隣人同士の境界を巡った紛争に発展するケースも多いのが実態です。

【境界の種類】
 境界には、私法上の境界と公法上の境界、そして現況上の境界があります。境界が確定していないと、隣人とのトラブル以外に「土地の売買や建物の建築に影響」「不動産の証券化ができない」「相続税の物納ができない」等の問題が起きることが考えられます。

@私法上の境界(所有権界)・・・土地の所有権の範囲を意味するものであり、隣接する土地の所有者間の合意で自由に決めることができる所有権の土地に対する境目を意味します。
A公法上の境界(筆界)・・・筆(土地登記簿上の土地の個数の単位で、地番を付されて区画されたもの)を異にする同士の境目で「筆界」といい、当事者間の合意で自由に決めることができないものであり、分筆や合筆といった登記申請手続きによってのみ変更や設定ができます。
B現状の境界・・・土地を物理的に分けている境界で、ブロック塀などで境界があっても、それが公法上の境界・私法上の境界と一致しているとは限りません。

【公図】
 公図とは、登記所に備え付けられた「地図に準ずる図画」のことで、土地の大まかな位置や形状を示すものです。不動産登記法では、土地の境界を明確にするため、正確な測量に基づく地図を登記所に備え付けるように定められており、現在は暫定措置として、公図が使われています。
 明治6年の地租改正により、土地を人為的に区分けした際、一区画毎の土地に地番が付され、祖図などに地番の界としての境界線が記載される事により「筆界」が創設されました。その後、明治18年に再調査が行われ、現在法務局に備え付けられている「公図」(地図に準ずる図面)の元となっている図面が作成されました。
 明治時代に作られた古い地図で正確ではないものが多いが、今なお不動産の取引や訴訟の証拠資料などとして広く利用されています。

【地籍調査】
 地籍調査とは、土地分類調査、水調査と並び、国土調査法に基づく「国土調査」の一つであり、主に市町村が主体となって、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量するものです。地籍調査にかかる費用は、国が50%、都道府県が25%、市町村が25%負担し、住民の負担はありません。
 地籍調査が行われると、その成果は登記所に送られ、登記所において、これまでの登記簿、地図が更新されることになります。更新された登記簿、地図は、その後の土地取引の円滑化や行政の効率化に役立つことが期待されています。
 実施に当たっては、自治会、町内会などで話し合い、住民の方々が自ら準備を進めて、市町村等へ働きかけることも必要です。

【筆界特定制度】
 いざ境界紛争が生じると、地権者の利害が絡むのでなかなか厳しいものがあり、境界確認が得られるかどうかによって、その不動産の価値に大きな違いが出てきてしまいます。
 「公法上の境界」に争いがあれば「境界確定訴訟」、「私法上の境界」に争いがあれば 「所有権確認請求の訴訟」の民事訴訟の手続きによって解決するしかありませんでした。
 しかし、「公法上の境界」をめぐる紛争について訴訟よりも迅速に解決するための制度として平成18年1月20日に「筆界特定制度」が施行されました。
 「裁判よりも短期間で決着する可能性が高い」「弁護士報酬等が不要」「隣人関係の悪影響が少ない」といったメリットがありますが、あくまでも境界の位置を調査して、それが現地のどこになるのかを明らかにするだけで、新たに「筆界」の位置を設定するものではありません。そのため、筆界特定の結果に不満がある場合、従来どおり境界確定訴訟などによって裁判所に決めてもらうしかないことになります。

 境界確定は、大きな問題に発展する前に、隣人と話し合いや立会いを行って、境界標を設置するなどの事前の予防と対策を講じておく必要があります。できることなら、隣人とのトラブルは避けたいものです。

国土交通省「都市部における公図と現況のずれ公表システム」
http://www.land.mlit.go.jp/Kouzu_zure/


2007年06月分 古瀬 崇

「見えないチカラ」

 「ピグマリオン効果」という言葉をご存知でしょうか。
ピグマリオンというのはギリシャ神話に出てくる彫刻家で、自分の理想を求めて作った女性像に恋焦がれてその思いを祈ることでついに女神からその彫刻に生を与えてもらったという伝説です。

 教育心理学における教育心理の1つで、「ピグマリオン効果」とは人間は期待された方へと成果を出す傾向があるとの理論から、アメリカの心理学者ローゼンタールによって実験報告がされています。
その実験によると、ランダムに選んだ生徒を「この生徒達は成績の良い生徒達だ」と担当教師に伝える事により、教師が先入観と期待をもって接する事で生徒達が数ヵ月後には実際に成績向上につながったというものです。
教師の期待や接し方・言葉かけなどが生徒達になにかしらポジティブな影響を与えているものと考えられています。

 そこで少し考えてみましょう。私達が毎日発している何気ない言葉や接し方もポジティブな言葉や接し方は相手にプラス効果を与えることも多いと思いますが、逆にネガティブな言葉や接し方は相手のヤル気や意欲を削ぐことにもつながりかねません。

 例えば、「君ならできるよ」「すばらしいね」「期待してるよ」「きれいですね」という言葉や接し方は聞いていても気持ちと響きの良い言葉ですし、だからこそ言われた相手方ももっと頑張ろうとするのではないでしょうか。
逆に、「ダメだな」「何をしているんだ」「どうでもいいよ」などは逆効果を意図している事もあると思いますが、マイナス効果を与える事の方が多いと思います。
(ちなみに期待しないことによる効果の低下を「ゴーレム効果」といいます)

 こういった効果は教育現場だけではなく例えば親と子の関係、会社や組織での関係、上下関係だけではなく夫婦の関係や友人関係など様々な場所で働く応用原理だと思います。

 ただ勘違いしてはいけないのは決して「おだてる事」ではないという事です。
大事なのは、その言葉や接し方に心がこもっているかどうかという事です。心がこもるとは、つまりは相手を「思いやる心」だと考えます。
厳しい言葉や接し方にも「心」があれば十分に伝えることができるでしょうし、優しく綺麗な言葉にも「心」がなければ何も伝わらない。あるいは気持ちと期待をこめて見守るだけという伝え方もあるでしょう。

 親子関係・人間関係が希薄になってきていると言われる昨今、自身も親として人として
『和顔愛語(わげんあいご)』を心がけていきたいと思います。


2007年05月分 竹添 敦史

「グレーゾーン金利の過払金返還請求」

 利息制限法の上限金利(年15〜20%)と出資法の上限金利(年29.2%)、2つの法律で上限金利が異なっているため、利息制限法では違法となるが出資法では合法となる金利、これが「グレーゾーン金利」です。
 
 以前は、貸し付け方法など、一定の条件を満たせばグレーゾーン金利が有効になるとの扱いが一般的でした。
 しかし、裁判所がこの条件を厳格に解釈する判決を下した事をきっかけに、多重債務者が弁護士や司法書士などを通じて「過払金返還請求」を行なうケースが増えました。
 過払金返還請求を行うことで、利息制限法の上限金利で利息が計算し直されます、借入金残高が既に返済した金額を上回った場合は、「過払金」として債務者へ返還されます。
 この動きがきっかけになり、貸金業法が改正され、2009年末をめどに出資法の上限金利が年29.2%から年20%へ引き下げられ、ようやくグレーゾーン金利が解消されます。

 ちなみに、アメリカでは、上限金利を定めている州と自由金利の州があり、デラウェア州・ユタ州・ジョージア州では上限金利がありません。
貸金業者が競争することで市場原理が働き、過度な高金利は抑制されるという考え方が主流を占めているようです。

 欧州では、ベルギー、フランス、オランダ、イタリアなどが上限金利を定めており、イギリスやドイツは自由金利です。
しかし、過度な高金利は禁止していて、裁判所がケースごとに判断するシステムです。
また、キャッシングの総コストを消費者に提示し、他の金融機関と比較できるようにする、金利の比較開示を重視し、それに違反すれば制裁を加えるという考え方のようです。
 
 日本では、金利に対する知識がないままキャッシングしている傾向が強いのではないかと思います。
法律による規制も必要なのでしょうが、利用者の側も努力が必要なのかもしれません。

 と、ここまでは、最近の報道などで周知されていると思いますが、この過払金をめぐって新たな動きがありました。

 地方税や国民健康保険料の滞納に悩む地方自治体が、滞納者が借金をしていた消費者金融、信販会社に対して、グレーゾーン金利による過払金の差し押さえを行っています。
 滞納者に代わって、地方自治体が返還請求を行なうような格好になりますので、多重債務者(滞納者)、地方自治体の双方にメリットがあり、この動きは広まりそうです。

 一方で、返還する側の貸金業者は、非常に苦しい立場に追い込まれています。
消費者金融、信販会社の各社は赤字転落の会社も目立ち、貸金業者に融資を行っていた銀行も貸金業者への融資を抑え始めているようです。
 こうなると、貸金業者は融資先に対し回収を行なったり(いわゆる貸し剥がし)、審査基準を厳格化しています。

 今後、どのような影響が出てくるのでしょうか。

2007年04月 乾 善文

「税制に関する意識調査」

 日本労働組合総連合会が、今年の2月に全国20代〜50代の各世代250名の男女1,000名を対象に「税制に関する意識調査」を実施しました。その質問内容は、税源移譲や消費税増税・税負担の感じ方など、15個の質問にまとめられています。

 「定率減税が全廃されて、所得税と住民税を合わせた負担が、昨年に引き続き、今年も実質増税となっていることをご存知でしたか?」という質問には約32%の人が「ほとんど知らなかった」「知らなかった」と回答し、また、「税源移譲についてどの程度知っていますか?」という質問には約53%の人が「ほとんど知らなかった」「知らなかった」と回答するなど、新政策への認知が徹底されていない状況が浮き彫りとなりました。

 消費税の増税については、約63%の人が反対と回答しています。その理由は「歳出削減を増税より先にすべき」と回答した人が60%と一番多く、続いて「低所得者への負担が大きくなる」と回答した人が約42%となっており、政府の政策次第では「増税は仕方ない」と思う人がいるように感じられます。

 一方で、自分が直接定期的に支払っている税金には約47%の人が「全く知らない」「よく知らない」と答え、支払っている税金に対する無関心さも表れたように感じました。

 「最近、税金や社会保障費等の変化についてどう思いますか?」という質問には、約85.%もの人が、「負担が増している」「やや負担が増している」と痛税感を感じています。また、約81%の人が、「今の税制には満足していない」と回答していました。その理由として「税金に無駄遣いが多い」「高所得者層を優遇した税制となっている」「自分の収入に比べて税金の負担が大きい」と回答し、行政への不信感や不公平感により多くの人が不満に思っていることが表される結果となりました。

 今後の税制について国民の理解を得たければ、行政の説明責任が重要になってくるのでは無いでしょうか?それにより、国民感情を「嫌々支払う」から「必要なものだから支払う」に替えることが必要になってくると感じました。


税制に関する意識…
http://www.jtuc-rengo.or.jp/shuppan/shiryou/data/20070314report.pdf

2007年02月 塚本 正一郎

「タックス ヘイブン」

財務省は1月25日に、所得に占める税と社会保障費の割合である「国民負担率」が、2007年度に39.7%となり、
過去最高になる見通しを発表しました。景気回復により、企業が納める法人税が増えたことなどによるものです。

日本においては、納税の義務を負い、様々な税金を支払わなければなりません。
2月16日から所得税の確定申告の受付がスタートし、個人事業者等で申告を要する方にとっては、
本当に頭の痛い季節ではないでしょうか。

ところが、税金のない国があります。
南太平洋上にある小さな島国の「ナウル共和国」で、リン鉱石が採れ、それを輸出することで国の収入が確保
されているので、現在のところ税金はありません。

また、税率が非常に低い国もあります。
F1グランプリの開催地として有名な「モナコ公国」「サンマリノ共和国」、カリブ海地域の「バミューダ諸国」「バハマ」、
中東の「ドバイ(アラブ首長国連邦)」「バーレーン」、アジアでは「香港」「マカオ」「シンガポール」などです。
これらの国や地域は、タックスヘイブン(tax haven)と呼ばれ、日本語では「租税回避地」という意味で、
外国資本や外貨獲得のために、税金を優遇して、企業や大富豪の資産を誘致しています。

例えば、日本の会社が、タックスヘイブン国において会社を設立し、その現地法人で商品の仕入れと
販売を行うとします。その現地法人は日本では「外国法人」とされ、課税されません。
タックスヘイブン国においては、日本より低い税率で課税され、その国において資金を貯めることができます。

そのような「租税回避」行為に対処するために日本においては、「タックスヘイブン対策税制」が設けられています。
タックスヘイブン国に発行済株式等の50%超を保有する子会社等を置いて、そこに利益を留保している場合に、
親会社の持分割合に応じて、その留保利益は親会社の所得に合算して課税されます。

タックスヘイブンは、「租税回避」だけでなく、「マネーロンダリング(資金洗浄)」の温床場所として使われいる
ケースも多いと言われており、先進国は今後も、タックスヘイブン対策を進めていくことでしょう。

財務省「国民負担率」 
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/futan.htm

2006年12月 古瀬 崇

「やってみよう自分の1年の棚卸」

はやいもので今年もあと1ヶ月となりました。
クリスマスムード1色の街並みとは別に、個人的には仕事柄毎年のように「メリー(苦)ルシミマス」なんて
あほな駄洒落を言いながらも繁忙期へと入る時期ですのでセルフモチベーションを高めていく時期でもあります。
楽しそうなカップルを横目に見ながら、年末の繁忙期に残された残務に嘆いている仕事人達の声が聞こえて
きそうな気がします。

そんな慌しい時期ですが、そんなときこそ1度立ち止まって自分自身を振り返ってみてはどうでしょうか。 
あなたの2006年はどんな1年でしたか。

とはいえ、ただ漠然と自分自身の1年をふり返るといっても簡単なようで簡単でなく、また自分自身のことは
分かりにくいものです。 
そこで、「Active Verb」(行動的な動詞)を並べてみましょう。 
これはアメリカで、レジュメライター(いわゆる履歴書代書人)と言われる人たちが多く使う手法だそうです。
方法は簡単!大小問わずに「〜した」と行動的なかたちで列記していくだけです。

例えば会計人である自身で言えば、
   ・ 法人決算を○件した
   ・ 確定申告を○件した
   ・ お客様への提案を○件した
   ・ 従来の仕事とは別の新しい仕事を○件した etc

また営業をされている方などでは、
   ・ 飛び込み営業を○件した
   ・ 1日○件以上訪問した
   ・ クレームを○件処理した
   ・ 新しい名刺を○枚増やした  etc

結果になった事、ならなかった事を問わず、日頃当たり前と思っている事なども改めて「〜した」と行動的表現で
ふり返る事で今年1年の自分に少し自信が持てるかもしれませんよ。 
やろうとしてやらなかった大きな事よりも、やった事の小さな積み重ねが大切なのですから。 
そして今年それだけやった自分をたまには褒めてやりましょう。1年の自分の棚卸には甘いと言われるかも
しれませんが、今年は1度自分自身のポジティブな棚卸をしてみてはいかがですか。

“偉人達もこのように言っています”

 「どうして自分を責めるんですか?他人が必要なときに責めてくれるんだからいいじゃないですか」
                                       アルベルト・アインシュタイン(発明家)

 「誰も称賛してくれるものがいなくても自分の事は自身で称えよ」
                                      リチャード・バートン(イギリスの探検家)

2006年11月分 乾 善文

《自動車重量税の還付》

 平成17年1月から自動車リサイクル法が施行されていることは皆さんもご存知だと思います。すでに新車を購入した時や車検の時に支払っているのではないでしょうか?自動車リサイクル法と同時に「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」も施行されています。この還付申請件数が、平成17事務年度(平成17年7月から18年6月)において93万5605件にのぼっていることが財務省によって公表されました。以下に制度の概要をまとめました。

1.趣旨
使用済自動車の不法投棄の防止及びリサイクル促進を目的とした自動車リサイクル法を税制面からバックアップするため。
2.還付の対象となる自動車
車検証の交付を受けている車両のうち、使用済みとなった後に自動車リサイクル法に基づいてリサイクルされた自動車。
※ 還付申請者は、還付の対象となる自動車を引取業者(ディーラー等)に引き渡した者(最終所有者)とされ、実際に自動車重量税を納付した者かは問われていません。
3.還付の条件
使用済自動車が自動車リサイクル法に基づき適正に解体され、その解体を事由とする永久抹消登録(解体届出)を国土交通大臣に行うと同時に還付申請を行うこと。
4.還付される自動車重量税額
納付された自動車重量税額 × 車検残存期間 ÷ 車検有効期間 = 還付金額
ただし、車検残存期間が1ヶ月未満の場合は還付を受けることはできません。また、輸出されるときも還付されません。
5.還付申請手続
取引業者からの使用済自動車が解体された旨の連絡を受けた後、永久抹消登録申請または解体届出と同時に還付申請書に必要事項を記載して運輸支局等に提出します。
なお、税務署への申請は運輸支局等経由で自動的に行われますので、申請者が税務署へ行く必要はありません。

−参考−
国税庁(使用済自動車に係る自動車重量税は廃車還付制度について)
http://www.nta.go.jp/category/zidousya/01.htm

2006年10月分 竹添 敦史

『住友信託銀行、13年ぶりの法人税納付』
 
 住友信託銀行が、平成19年3月期決算で13年ぶりに法人税の納付を再開する見通しになると報道されました。

 三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行などの主要大手銀行が、平成18年3月期決算で史上最高の好決算となったのは記憶に新しいと思います。 それにもかかわらず、
  
  “法人税を支払っていなかったのか??”

と、お考えになる方もいらっしゃると思いますが、これには、きちんとした理由があります。

 大手銀行の多くは、バブル景気の崩壊後、「公的資金の注入」を受けることで危機的状況を回避、同時に不良債権処理を行ってきました。
 これにより、税法上の繰越欠損金(繰越欠損金は7年間繰越すことができ、以後の利益と相殺できます)が積み上がっていきました。その結果、好決算にもかかわらず、法人税は発生しなかったという事なのです。

 大手銀行の繰越損失(会計上の損失)は平成18年3月期決算時点の合計で約9兆3000億円と、依然として巨額になっています。これを解消し、すべての銀行で法人税の納付が再開されるのは、もう少し時間がかかると思われます。
 しかし、大手銀行の業績は今後も改善していくとみられていますし、一部の大手銀行による公的注入資金の完済、そして、今回の法人税の納付再開見通しの報道。
長引くデフレ経済は、着実に、次のステージへ進んでいるようです。


2006年9月 塚本 正一郎

「飲むなら乗るな。乗るなら飲むな。」

 8月の福岡の飲酒運転事故が報道されてから、飲酒運転による悲惨な事故のニュースをよく目にします。
2002年に改正された道路交通法により厳罰化されてからは、死亡事故が減少していたが、昨年からは
再び増加傾向にあるようです。この制度も4年経てば、慣れてしまったということでしょう。
飲酒で気が大きくなっているのもあるのでしょうが、
「自分だけは警察に捕まらないし、交通事故も起こさない自信がある」
という意識のドライバーが多いのではないのでしょうか。
6割以上の人が、過去に飲酒運転をした経験があるという調査もあります。
宴会においてお酒を勧められることはよくあることで、なかなか変えるのは難しいでしょう。
意識改革を呼びかける事は重要ですが、罰則をもっともっと厳しくしないと、飲酒運転は減らないと思います。

 また、自動車業界においても、
「飲酒をした人が運転席に乗り込んだ場合、呼気から一定量のアルコールが検知されると、エンジンが
かからなくなるような装置の開発」

「複雑な暗証番号を打たないとエンジンがかからない車の開発」
が検討されているようですが、まだ実用化のめどは立っていない状況です。

 税務面においては、通常の事故とは異なり、飲酒による交通事故には厳しい取り扱いになっています。
<接待で飲酒運転し、検問に捕まって、会社がその「罰金」を肩代わりした場合>
・・・交際費としては認められず、全額が損金不算入
<従業員が加害者となり、会社が被害者への損害賠償金を支払った場合>
・・・「重大な過失」があったとされ、全額が損金不算入
 
 自動車保険においても、被害者保護という趣旨から対人・対物賠償責任保険については支払われますが、
飲酒運転は「免責事由」に当たり、運転者は事故によってケガをしても、搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険、
車両保険による支払いを受けることができません。

 
実践しましょう。
   
「酒を飲んだら運転しない。」
   「酒を飲んだ者には運転させない」
   「運転する者には酒を出さない、勧めない」


2006年8月 古瀬 崇

「勝つことより大事なことがある・教師 大瀧雅良」を見て

 少し前になりますが、NHKドキュメントで静岡県清水商業高校サッカー部監督を取り挙げる番組がありました。
「プロフェッショナル」を題材に「指導者」追いかける番組で監督の大瀧さんとチームのエース的存在の選手を中心に構成されている番組でした。 

 清水商業高校と言えば、今年のW杯でも活躍したGK川口能活やMF小野伸二など多くのプロ選手を輩出している高校サッカー界では超名門校。 そんな高校であれば各中学校からもエース級の選手が多く集まる。そこでまず選手達が当たる壁が自分自身のプライドだそうです。
サッカー技術はトップレベルでありながら、うまいが故に生まれるおごりと、プライドの高さからチームとしての動きからかけ離れ、自分とチームとの壁に当たる。

 そんなとき指導者はどうするか? 
 答えなどない中で大瀧さんが経験の中で導き出したもののいくつかに以下のようなものがあります。
・1人1人に対して徹底して質問を投げかけ自分自身の考えを出させる。 
・選手同士にプレーの中で相手のミス・弱点を指摘させる。
・答えが導き出せないなら、出さざるを得ない環境にあえておいてみる。
・サッカー技術・指導以上にまず人としての基本的な事を大切にする。
 
 これらの中に意図するものは、自分自身が考えた答えこそが自分のものになる。教えるのは簡単だが、そこから身につくものはない。また、全体に話をすると逃避して自分自身の問題として捉えないことが多い為、あえて1人1人に対して行う。
 更に、衝突を恐れず真剣に取り組むなかでの意見のぶつけ合いの中から本当のチームの向上・人としての優しさ・友情が芽生える、という考えなど指導者として多くの事がメッセージとして含まれています。
 そんなメッセージに気付く事ができれば、自分自身の壁を乗り越え選手として、人として成長できていくのだと感じました。

 最後に大瀧さんは「プロフェッショナルとは・・・」と言う問いかけに、

「良く分からないが、何かをつき進めていっても、まだやり方があるのではないかな、もっといいものがあるのではないかな、という求めていく欲みたいなものを持っているということだと思う」と締めくくっておられました。 まずは自身の弱さを知り、他からの意見を聞き、常に追い求めていく姿勢こそ、自分自身を成長させ続ける事が出来る根本である事をあらためて考えさせられる番組でした。


2006年7月 乾 善文

『駐車違反取締の強化』

 最近、町中で緑の制服を着た民間駐車監視員の姿を見かけるようになりました。ご存じの方も多いと思いますが、6月から改正道路交通法が施行され、違法駐車に対する取締が強化されました。この改正は、趣味がドライブの私にとって、とても気になるものです。駐車場の無いコンビニの前に車を置いて、買い物を済ませて帰ってきたら駐車違反の確認標章が…ってことがあり得るようになりました。

 「放置違反」という制度が新設され、時間の長短に関係なく、駐車禁止区域では運転者が車から離れた時点で、警察官や新たに導入された民間駐車監視員が駐車違反として取り締まるという非常に厳しい措置が導入されました。罰金の額は、以下のようになっています。また、この放置違反金を滞納した場合、将来車検を受けることができなくなってしまいます。

◆ 駐停車禁止場所の場合
・ 大型車…2万5000円
・ 普通車…1万8000円
◆ 駐車禁止場所
・ 大型車…2万1000円
・ 普通車…1万5000円

 ところで、業務中の駐車違反による交通反則金を会社が負担した場合、交通反則金は罰金等になるため、法人税法上損金不算入となります。また、業務中以外の駐車違反による交通反則金を会社が負担した場合、駐車違反をした者に対する給与として取り扱われ、源泉所得税の対象となります。駐車違反をした者が、役員であれば「賞与」として取扱われるので、損金不算入になります。なお、レッカー移動された場合のレッカー移動料や保管料を会社が負担した場合は、損金算入できる取扱いになっています。

 実際のところ、監視員が作業中に戻ってきた場合には、「警告」を受け、駐車違反にならなかったりするみたいですが…。いずれにしても、今後は、「ちょっとそこまで」という軽い気持ちで車を離れるのはとても危険です。コンビニによる時は、駐車場のあるコンビニにしましょう!


2006年6月分 竹添 敦史

『なぜ、シンガポール?』

 先月、「鰍l&Aコンサルティング」(通称、村上ファンド)が投資活動の拠点を、シンガポールへ移転したことが明らかになりました。
 M&Aコンサルティングといえば、元通産省のキャリア官僚である 村上世彰 氏 が代表(実際の代表取締役は丸木 強 氏)をつとめる投資ファンドで、「ライブドアによるニッポン放送株大量取得」、「阪神電鉄株をめぐる攻防」など、なにかと注目をあびています。

 「M&Aコンサルティング」がシンガポールへ…
この報道を受けて賛否両論あるようですが、“税”という側面から移転理由を推測すると、投資ファンドとしてはごく自然な行動と捕らえる事もできます。

 シンガポールの法人税率は、通常20%、実に日本の法人税率の約半分。
さらに、シンガポール政府は、金融を重点施策としており、投資の促進を狙って優遇措置(5〜10%の低減税率)が導入されています。これだけで、移転する価値が十分あると判断できます。

 さらに言えば、より有利な税制を持つ国に拠点を移す行為は、金融の世界ではごく当たり前の行為であることも事実です。(もちろん、租税回避行為は許されるものではありませんし、税務当局も目を光らせています。)

 この行為の是非については今後の展開を見守るとして、今回のニュースを今後の税制改正に生かしてほしいと思います。

 最近、財政再建を目的とした増税論議ばかり行われ、実施されています。
増税という最も簡単な手段に頼るのではなく、優遇税制などを活用して法人・個人の活力を高め、かつ、財政再建を行うという難題に挑んで頂きたいと思います。


2006年5月 塚本 正一郎

 税務関係書類をその提出期限ぎりぎりに郵送等した場合、どのように扱われるのか心配なところです。

 平成18年3月31日までは、確定申告書など一部の書類(国税通則法22条)を除き、税務官庁への郵送による提出書類は、消印日ではなく「到着日」とされてきました。(到着主義)

 4月1日以後は、提出期限のない一部の書類は従来通りの到着主義ですが、ほとんどの税務関係書類について、その「消印日」をもって提出日になりました。(発信主義)。

 3月31日以前の制度は、例えば、個人事業者が所得税の確定申告書といっしょに青色申告承認申請書を3月15日に郵送した場合、確定申告書は期限内提出になるにもかかわらず、その年の3月15日が提出期限である青色申告承認申請書は、税務署に3月16日以降に到着することになり、法律上は、その年からの青色申告は認められず、来年からの適用となっていました。

 実際の税務運営上の取り扱いは、法律によらないで柔軟に到着日を消印日で判断し、たとえ期限後に到着した書類であっても、消印日が提出期限までであれば認められていた書類もあったようです。
都市部に住む納税者と郵便事情が悪い山間部や離島などの地域に住む納税者との間で、差があり、不公平なものだったと言えます。納税者にとってありがたい税制改正になりました。

 郵送による提出の方法としては、郵便又は信書便によることとされており、宅急便によることは認められていませんのでご注意下さい。

 また、税務官庁への届出書の提出期限について注意を払わなければいけない届出書として具体的に何があるのかも気になるところではないでしょうか。主なものとして、次の通りです。

◆所得税の青色申告承認申請書/青色事業専従者給与に関する届出書
  その年の3月15日まで(その年の1月16日以後の場合には、開始等の日から2月以内。)

◆法人税の青色申告書の承認申請
  その事業年度開始の日の前日まで(設立事業年度の場合には、設立日から3月を経過した日と
  事業年度末日との早い日の前日)

◆消費税課税事業者選択届出書/消費税簡易課税制度選択届出書
  その課税期間の初日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)

◆消費税課税事業者選択不適用届出書/消費税簡易課税制度選択不適用届出書
  その課税期間の初日の前日まで(ただし、2年間継続した課税期間後の適用。)


国税庁(提出時期)http://www.nta.go.jp/category/yousiki/periodList.htm


2006年4月 古瀬 崇

「WHAT is EQ」

 「IQ」は知っているけど「EQ」って何だろう?

 最近ではテレビ番組でも「IQサプリ」なんていう番組もあり、「IQ」は多くの人が知っている言葉でしょう。
 
 一般的には
   “IQが高い人 = 頭の良い人” 
 という認識があるように、論理数学的知性や言語的知性などの高い人をいいます。

 では「EQ」とは・・・

 「EQ」とは情動(こころ)の知能指数などと訳され、総合的社会的知性の高さを意味します。例えば、IQの高い人が成功者であるかと言えば決してそうではないでしょう。IQが高い人が仕事や人生でつまずいてしまったり、平均的なIQの人が大成功をおさめる事も多くあります。そんな要因はどこにあるのかと考えたときに要因の一つとして「EQ」が考えられるのです。

 具体的には、自分で情動(こころ)を調整し(セルフコンセプト)、対人関係を上手に発展させ(ソーシャルスキル)自分と他者の状態を認知し敏感に察知する能力(モニタリング能力)を高める事によって、自分の本来持っている能力や蓄積してきた能力を発揮できる人的環境を構築できる。 また、周囲からの援助や支援(ソーシャルサポート)が得られやすくなるので、ビジネスにおいても成功する可能生が高くなる、という結果に結びつくという考えです。これは仕事の成否についてだけではなく個人の成長や組織の活性化の分野でも話題となっているようです。 

 以前にコンピテンシー=成果を生む為の行動特性(平成17年5月コラム参照)について書いた事があります。それは知識技能層に対し、リーダーシップ力・コミュニケーション力・人間関係構築力やモチベート力などでしたが、共通する部分も多いのではないでしょうか。
 
 少し堅い話になってしまいましたが、EQにしろコンピテンシーにしろ、人が生まれながらに持っている能力ではなく、日常の生活を通して形成されていくものが多くあると思います。 むしろそれが大部分なのだと思います。 少し意識すればどんどん伸びていく能力でしょう。 しかし私自身が感じるのはそれを「あえてまでしない」と言う人が多いような気がしてなりません。

  あえてまで人と接しない。
  あえてまでコミュニケーションをとらない。
  あえてまで積極的に動かない。       etc

 もし自分が「あえてまでしない派」と感じる人は「あえてまで〜しない」ではなく、「あえて〜する(しよう)」を意識してみてはどうでしょうか。
何かが変わるかもしれませんよ・・・。


2006年2月 乾 善文

 私は、スポーツをするのも観るのも好きです。特に今年は、冬季オリンピック・ワールドカップなど、国民の注目を集める世界大会が開催される年になります。世界大会での話題は、2つあるのではないでしょうか?1つは、どの選手(どの国)が活躍するかということ。もう1つは、経済効果がいくらあるかということではないでしょうか?

 第一生命経済研究所の試算によると、2月10日からトリノで開催される冬季オリンピックの経済効果は、国内消費で約2,635億円と言われています。なんとこの経済効果は、長野オリンピックに匹敵する経済効果とほぼ同じ規模になるそうです。また、6月9日からドイツで開催されるワールドカップの経済効果は、国内消費で約2,588億円になると見られています。

 しかし、「経済効果」の数値は、意外にアバウトな数値です。調査会社により条件設定が違ったりしますので、当然結果も変わります。また、たまたまこの時期にテレビを買い替えれば、これも冬季オリンピックやワールドカップの経済効果として含まれてしまいます。そんなアバウトな数値であっても、お金の動きが数値として表示されます。そうなれば、やっぱり人の興味を引きます。

 投資家の人は、これだけの経済効果があれば、どの業界が儲けるか気になってくるのではないでしょうか?まず、最初に思いつくのは家電の量販店やメーカーではないでしょうか。迫力ある映像を綺麗な画質で見る為、、地上デジタル放送対応のテレビを買う家庭が多くなっているでしょう。また、ツアーで現地に赴く人もいるでしょうから、旅行業界も儲かるように思えます。仲間と集まって応援をすれば、アルコール等の消費も増えるでしょうから飲食業界でも儲かる所があるでしょう。景気に回復の兆しが見えてきた最近、オリンピックやワールドカップが景気回復の後押しになればと期待します。

 私自身は、冬季オリンピックでは金メダルラッシュを、ワールドカップでは決勝トーナメント進出を期待し、楽しみながら観戦したいと思います。

2006年1月 竹添 敦史

『耐震偽装問題が税制改正にも影響』

 2005年、日経平均株価は2000年以来となる16,000円台を回復し、経済面からは比較的明るいニュースが目立った年でした。
これとは反対に『電車の脱線事故』、『アスベストによる健康被害』、そして、2005年も終わろうとした頃に発覚した『建物の耐震強度偽装問題』など、安全神話の崩壊ともいえる事故・事件が目立った年でもありました。

 このような安全に関する問題は、昨年12月に公表された平成18年度税制改正大綱にも少なからず影響を与えています。
 全体的に増税色の強い税制改正大綱にあって「耐震改修促進減税」、「地震保険料控除」の二つの税制優遇措置が新たに創設されました。

改正の内容は以下のとおりです。

(1)耐震改修促進減税
1981年に改訂された建築基準法以前に建てられた居住用家屋を、現行の建築基準法に基づく耐震基準に
適合させるために耐震改修した場合、それにかかった費用の10%(上限20万円)をその年分の所得税額から控除する。
(対象期間は2006年4月から08年末までで、対象となる地域は限定されます)

(2)地震保険料控除
@所得税 地震保険契約に係る保険料の全額を、その年分の総所得金額から5万円を限度として控除。
A個人住民税 地震保険契約に係る保険料の1/2を、その前年の総所得金額から2.5万円を限度として控除。

 このように、地震に関する優遇は手厚くなっています。
ただし、ここで注意していただきたいのは、地震保険料控除の創設の代わりに、今まであった損害保険料控除は使えなくなるということです。
今までは、契約期間が10年以上の積立損害保険には最大1.5万円、その他の損害保険には最大3千円の控除がありましたが、今年度以降は、これらの損害保険料控除が廃止されます(※1)ので、地震保険以外の損害保険に加入している方にとっては、僅かながら増税となってしまいます。

 『地震だけを優遇する』という事なのでしょうか…。


経過措置として2006年末までに契約した長期損害保険(契約期間10年以上)については控除制度が存続します。
長期損害保険料控除と地震保険料控除の両方を適用する場合の控除上限は5万円となります。

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